ネカフェ難民 行方不明 ~ セーフティーネットは門前払い
これまで 日本国民は、
漠然と 「いざ、生活に困ったら、生活保護というセーフティーネットがある」
と 思い込んできた。
実際に、コーチング業界などは
「チャレンジせよ! CHANGE の中に CHANCE がある!」
「失敗しても、あきらめるな! あきらめなければ、失敗ではなく、糧になる」
など、地獄に落ちる覚悟で挑戦せよ!
くらいの勢いで、
クライアントのやる気、モチベーションアップを計ってきたし、
「失敗して、生活困窮したときのために、生活保護などの セーフティーネットがある!」
と説明してきた。
著書に記している方々も いる。
しかし・・・・
現実は、生活保護など、
「裏口から入らないと、無理」
「まともに、正面から相談したら
『まだ働けるんだから、働けるうちは、働いてください!』
などと、門前払いされる」
のが現実だ。
管理人も、かつて ビジネスで失敗して、相談したことや、
現場を知るために、直接、相談にも行ったことがあるが、
80歳、90歳以上でなければ、ほぼ 100 %、
門前払いだ、
というのが、現場での体感だ。
財政難だ、という自治体から、どんどん
生活保護の対象者、自治体の支出項目になる 福祉、セーフティーネットは、
削られていく。
もはや、
「失敗したら、路頭に迷う」覚悟でなければ、とても 起業など、
できないのが、日本という国家だ。
2020年、人類史で 100年に一度、起きている
地球規模の ウィルス感染(パンデミック)が
日本にも襲来した。
当初、中国・武漢から広がった「武漢ウィルス」も
WHO (世界保健機構)が、スポンサーである 中国のため、
新型コロナウィルス (英語 Covid-19 ) と 呼び方を変えたが、
呼び方に関係なく、2020年の ゴールデンウィークも、
被害は、日本国内で拡大中だ。
日本最大の都市、東京都は
人間など、数いるんだから、弱肉強食、競争原理で
淘汰された人間は、不要だ!
といわんばかり。
名も無き小市民は、こうして追い込まれていく。
ウィルスで死ぬより、これからは、自殺者爆増を、警戒したい。
2020年5月2日(土)
東京都「ネットカフェ難民」のホテル提供を出し惜しみ、
消えた 3349 人の行方
その後も 改善されるどころか、ますますひどいことになっているのでお伝えする。
■「12億円を計上して支援します!」
東京都は 緊急事態宣言を受けて ネットカフェに営業停止を要請。
各自治体に連絡したはずだったが……。
「ネットカフェから出された人に対する 緊急宿泊支援提供ですが、
4月25日までに計651人がビジネスホテルに入所できました」
そう教えてくれたのは、生活困窮者を支援する団体『つくろい東京ファンド』の代表を務める稲葉剛さん。
一見、順調に進んでいるように聞こえるが、実際はそうじゃないんだそう。
「『東京チャレンジネット』を通じてビジネスホテルに入居できた人の割合を調べたところ、
おそらく電話やメール相談の段階で断られている人も多いと推測されます」(稲葉さん)
『東京チャレンジネット』とは、従来からある東京都が行う生活・居住、就労を支援するサポート事業だ。
次々に排除されてしまっているんだという。
「私たち いくつかの支援団体は、
【注:4月30日にやっとTwitterで告知した】
「やりますよ!」と掛け声だけは大きく、メディアも大々的にそれを発表し、
今のさまざまなコロナ対策で起こっていることと同じ流れだ。
「そこからも ルールは二転三転。東京チャレンジネットでは 都内在住6か月以上の人しか受け付けない
と言い出したんですよ」(稲葉さん)
耳を疑う東京都の対応。
今度は違うと言いだす始末。
「私が先日、申請者に同行して 東京チャレンジネットの窓口に行ったんですが」
と、詳しく教えてくれたのは、前回もお話を伺った『つくろい東京ファンド』の小林美穂子さん。
「東京都がネットカフェから出された人たちのためにビジネスホテルを2000室用意する、
3か月後に自立する見通しがつく人に限られる と言うんです」
見通し?
人には会うな、移動はするな、ステイホームなのに? 一体どうやって?
しかもだ。小林さんが言うには、
「これまでの私たちの経験から、
しかし、ネットカフェ滞在者の平均月収は 11万円ほどと聞いています。
なので、この“見通し”をかなえられる人は、ネットカフェ滞在者の中でも
というわけだから、
どれだけの無茶ぶりだ? ということになる。
■3密で2時間もの手続き
「今回、私が同行した申請者さんは これまで ネットカフェで寝泊まりしながらバイトをしてきましたが、
とお願いしても、にべもないです」(小林さん)
とにかく、東京チャレンジネットが部屋(一時住宅)を用意するまでは
都が用意したビジネスホテルには「入れない」の一点張りだという。
「申請者さんが『わたしのような人が断られたらどこに行けばいいんですか?』と 途方に暮れて尋ねると、
そちらに行かれたらどうですか?』と言います」(小林さん)
たらいまわしをして、しかも借金をしろと言うのか?
「それは条件によっては減免されるものの、基本的には返さないといけないやつですよね?
って答えられました」(小林さん)
土日の2回だけ? 形だけやりました感を出しただけ?
新型コロナによる緊急事態宣言も続き、収束はまだまだ見えない。
扉を閉じようとしてしまうのは、まったく理解ができない。
「そのときは 3か月後の見通しがつきます と言わない限り 埒(らち)があかなかったので、
就労アドバイスなどが行われる とのことでした」
3密はダメと言われてるのに、2時間近くも聞き取りだなんて、
ネットカフェ難民や支援者たちに強いる現実。
だいたい職務経歴書なんて、作ったことがある人ならおわかりだろうが、
ゆっくり本人に作ってもらえばいいじゃないか。
「そうした間にも、事務所の電話に応対するスタッフの声が 面談室にまで聞こえてきていて、
推察しました」(小林さん)
■《奪い合うと足りない、分け合うと余る》
しかし、とにかく今、感染を広げないために
都が借り上げたビジネスホテルに泊まる方法は ほかにないんですか?
「市や区の生活保護の窓口や、生活困窮者自立支援制度の窓口に 行くことになりますが、
『あなたは神奈川から来たんでしょう?』と追い返したそうです。
また、ある区では 区議の方が申請者に同行して行っても ビジネスホテルを提案しない。
と言ったそうです」(稲葉さん)
それじゃ、もう、どこに行けばいいんですか?
ネットカフェにいた人たちは どうしたんでしょう?
「正直、4000人いたネットカフェの人たちの多くが
路上生活になったり、他県に移動した人もいるはずです」
小池都知事は この実態を知っているんだろうか?
小池知事は 知っていて放置しているんだろうか?
「これじゃ福祉とは呼べないですよね。
と、もう後がない人に言わんばかりで。
自分が相手にしているのが『命』だってこと、ひとりの『人間』だってことに
ダメージが大きすぎて、力を奪われます」(小林さん)
本当にそうだ。
どうして命を、福祉の現場で、東京都はないがしろにするんだろうか。
命はかけがえのないもの。東京都は早急に是正してほしいし、厚生労働省もこの件を看過せず、しっかりとした指導をしてほしい。命に待ったはない。
こうしたことを書くと、すぐに「自己責任だ!」と言い出す人がいる。それは前回の記事に対してもあった。でも、実際に自己責任だとして一切の援助を止めたらどうなるのか想像してみてほしい。誰も失敗できなくて毎日を怯えて暮らし、信頼は損なわれ、憎しみ合い、奪い合い続け、社会は地獄になる。
誰かがツイッターで書いていた。《奪い合うと足りない、分け合うと余る》。私たちは分け合うべきだ。そうした気持ちで、助け合いながら生きていきたい。
ちなみに、『つくろい東京ファンド』はじめ、支援団体が
困っている人に 教えてあげてほしい。
〈取材・文/和田靜香〉